【 ベアリングの話 】 第一回 シールについて ベアリングというと写真のようなカートリッジ型の姿を想像すると思います。 でも本当は、ベアリングとは「球」のことをさします。 カートリッジ型のは「軸受け」と言います。自転車の場合は、ハブそのものが軸受けに該当します。 今回のお話は、軸受けについているシールについてです。 防水防塵のために軸受けには、「シール」と呼ばれる装置が設けられています。 まず何故、防水が必要かと言うとベアリングも軸受けのボールレースも殆どの場合、クロム鋼であったりステンレス鋼であったり「鋼」で出来ています。 鋼は、水に濡れることで錆びるから防水のためシールが必要なのです。 次になぜ防塵が必要なのか? 軸受けには、軌道というアソビが極めて小さなベアリングが通る道があります。 この軌道上に小さな塵が入り込むとアソビが無いゆえにガッツンと噛み込んだり割れたり打痕がついたりします。 こうなるとスムーズな回転は、一発で損なわれてしまいます。 事務室で両側のシールを取り外したセラミックベアリングの軸受けを手で回して遊んでいたのですが最初の頃は、極めてスムーズにシャーと回転していたのですが日を追うごとにゴッーという音に変化していきました。 なんでだろうと思いルーペで観察してみると軌道上に小さな塵が押しつぶされて付着していました。 これが音がゴッーに変化した原因だったのです。 事務室のような清潔な空間でもこの有り様ですから屋外を走行する自転車のベアリングのシールがいかに重要かが解ります。 カートリッジ型ベアリングについているゴム製のシールには、2つのタイプがあります。 1. 接触型 2. 非接触型 接触型は、ゴム製シールのリップ部分が内輪に触れていることで防水防塵の役目を担います。 このリップが触れていることで摩擦抵抗が発生します。 非接触型は、外観が同じようなゴム製シールでも内輪には触れず微小な隙間が存在します。 触れていないからリップによる摩擦抵抗は発生しません。 この二つは、手で持って空回ししただけで明確に判別できます。 自転車用カートリッジベアリングには、ハブの外側だけ「接触型」にすることで防水防塵の役割を果たし ハブの内側面だけ「非接触型」にすることで1/2だけでもリップの摩擦抵抗を低減しようとしている製品が多くあります。
インスタ,FaceBook,x などSNSやメルマガなどで連載中の「ベアリングの話」は、工業研究所の先生方の研究成果などをご紹介しながら自動車工業会で長年活動してきた知見を工業技術者という立場で解説しています。
【 ベアリングの話 】
カートリッジ型ベアリングに装備されている「シール」について そもそも何故シールが必要なのかを説いた上で接触型と非接触型について解説。自転車の軸受けにとってやはり水は大敵であって 軸受け内部への浸水をどう防いできたのかなど
ここ数年間、話題を集めているグリースレスベアリング 2000年初頭にはカンパニョーロ社のカルトベアリングもグリース不要という触れ込みで登場したもののやはり潤滑は必要だったとスタイルを変えた。 これほどまでに魅力的、かつ難しいグリースレスベアリングの利点と難点を解説。 近年のグリースレス型はどんな機構を採用しているのかについても紹介した。
前回、グリースレス型をたっぷり褒めた次は、最新型の高機能グリースについて紹介。 ベアリングが発生させる抵抗のほとんどがグリースによる流体抵抗であった事など驚きの事実が!! 10グラム 5000円以上する 最新型の高機能グリースはどうやって流体抵抗を減らしているのか その仕組みを明らかにする。
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前回、解説したクロム鋼の熱処理について 「わずか50℃の違いが硬さを別ける」 熱処理の温度と金属組織の変化について 新潟県中央技術支援センターの研究成果を基に解説する。
軸受けの球あたり調整の際、ガタとプリロードの関係は競技用自転車の世界では、メカニックの腕の見せ所とされてきた。その勘所を工業技術者の視点でひも解く またカップ&コーン式のハブに発生するスピン摩擦についても解説した。
ベアリングの話 第3話 に登場する「凄いグリース」でシマノデュラエースのハブをチューンナップしたら抵抗がどのくらい減ったか?ノーマルのカートリッジベアリングから「BlueCeramic」に交換すると何%抵抗が減るのか 実測データ を公開
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